第10回 クラブ アトラスのシェフによる料理講習会
~フランス料理の技術の伝承とお店作りのポイント~
2018年9月10日
◆日時
2018年9月10日(月)
◆会場
東京ガス業務用ショールーム「厨BO!SHIODOME」
◆特別協力
クラブ アトラス
◆特別後援
東京ガス株式会社
◆講師
飯塚 隆太 氏(『Restaurant Ryuzu レストラン リューズ』オーナーシェフ)
進藤 佳明 氏(『Restaurant l’alliumレストラン ラリューム』オーナーシェフ)
◆講習会メニュー
1.飯塚 隆太シェフ:「秋刀魚と長茄子のルエル 苦味の効いたタプナードソース」
2.進藤 佳明シェフ:「焼き茄子のムースと水茄子のサラダ 北海道産 生雲丹と香り高いコンソメジュレと共に」
フランス料理文化センター主催、アミティエ・グルマンド会員向けセミナー「クラブ アトラスのシェフによる料理講習会」が2018年9月10日(月)、東京ガス業務用ショールーム「厨BO!SHIODOME」にて開催されました。好評をいただいているこの講習会も10回目を数えます。
今回の講師は『Restaurant Ryuzu レストラン リューズ』の飯塚隆太氏と、『Restaurant l’alliumレストラン ラリューム』の進藤佳明氏をお迎えしました。かつて「ラトリエ ドゥ ジョエル ロブション」で料理長、副料理長として共に一時代を築かれたお二人です。
また、当日は会長(高良康之氏)、副会長(小山英勝氏、渡辺雄一郎氏)、事務局長(伊藤文彰氏)をはじめ、10名を超すクラブ・アトラスのシェフの方々が講習会をサポートしてくださいました。
調理デモンストレーションでは、両シェフから茄子を使った料理をご披露いただきました。
一品目は飯塚シェフの「秋刀魚と長茄子のルエル 苦味の効いたタプナードソース」。生姜で風味を付けた秋刀魚のフィレを皮面だけ香ばしく焼き、半生の状態から余熱で火入れを仕上げます。揚げた長茄子はブイヨン、カレー粉等で味を煮含ませます。そして秋刀魚、茄子、トマトコンフィーの3つの素材を筒状(ルエル)に。秋刀魚の肝が入ったタプナードソース、トマトソース、ハーブオイルが旨みと苦み、酸味のアクセントとなり、見事に調和する一皿です。
続いては進藤シェフの「焼き茄子のムースと水茄子のサラダ 北海道産 生雲丹と香り高いコンソメジュレと共に」。3種類の茄子を調理法を変え、ムース、タルタル(長茄子)、揚げびたし(トロ茄子)、マリネ(水茄子)、茄子のチップスに。生雲丹とコンソメとともに構成する、香り高く、茄子の魅力を再発見する一品です。
「茄子や秋刀魚、鯵など身近な食材をガストロノミーで使うことに抵抗や、制限している食材はあるか」との受講生の質問に、「安い食材の価値を上げ、また変えられるのがシェフだと思うので制限はしていない。お客様との信頼関係も大切。(飯塚シェフ)」「制限している食材は無い。ただレストランという矜持を持ち、それ以上の価値を見いだせるよう仕事をしている。旬の食材は安いこともだが、季節感を出せる点が良い。(進藤シェフ)」とのこと。
講習会後半は両シェフにお話を伺いました。飯塚シェフは当講習会は第1回目の講師以来、2回目の登場です。2011年2月にお店をオープン以来、翌月の震災の影響を乗り越え、現在も繁盛店として名高いお店を経営し、腕を振るっています。そして進藤シェフは、講習会の1ヶ月前の9月に自身の店をオープンされました。両氏に独立するまでとその後の運営について体験談に基づいたお話しを伺いました。
「お店を出す際に大切なことは?」との質問には「ビジョンを持つ、何が自分に足りないかを考える、人との繋がりを大切にする。(飯塚シェフ)」「オーナーシェフとしてやっていく際のアドバイスは?」には「オーナーはつらいことばかり。いかにネガティブにならないかが大切。ネガティブだと誰も付いて来てくれないし、伝染する。」「まじめに真剣にやるだけ。そうすれば結果がついてくる。(飯塚シェフ)」「自分のやりたいことを資金と相談しながら、何を選んでやっていくかが大切。100%は出来ない。(進藤シェフ)」
その他「スペシャリテ、定番料理について」「スーシェフとして求められることは?」など多くの質問にも丁寧に答えていただきました。
また「幸せだと思う時は?」の質問には、両シェフとも「お客様に喜んでもらえた時」とのこと。また「生産者、漁師さん、スタッフなど、お店を取囲む人たちが幸せになってくれることが自分の望みです。」とのシェフの言葉も印象的でした。さらに飯塚シェフと進藤シェフとの絆も感じられる講習会でした。